分析の値段は釣り上げましょう。

毎週グループの定例MTGに出ると、ディスカッションの中でデータ分析に対する率直な意見や可能性についての議論が起きるため、何かしらのお題みたいなものが浮かび上がってきます。

データ分析は社内慈善事業ではないので当然お金を取るべきでしょうという話が結構盛り上がりました。

 

お金を中から取るにしても外から取るにしても、分析そのものに値段がつくのは良いことだと僕も思います。そしてできれば以下の3つのステップを通した価格戦略で分析チームを大きな利益を生み出せる組織にしたいと考えています。

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A:分析者の生産物がどの程度評価されているのか?が金額で明確にわかる。

例えばある分析に対して50万の値段が付いているとすれば、「その分析に対する注文は分析の価値が注文した人に取って少なくとも50万の価値がある」という事に成ります。

ちょっと特殊な事例を除けば、値段の付かない分析は市場(若しくは社内)からの需要が無いと言う事にほかならないので、サラリーマンである以上そういった分析はするべきではないです。

特殊な事例に触れておくと、分析それ自体に価値が有る(広報的な意味合いなんかで)場合や新しい分析を導入する時点なんかでは値段で評価を考えるべきではないです。

 

B:分析者の利益を最大化出来る。

※最適化問題解らなければBは読み飛ばして頂いてOKです。儲かる分析に集中できるよって話です。(労働時間の最適ポートフォリオ)

仮に分析に値段が付き、以下の様な方式で分析者の給料が決定されるとします。

給料 = f(総合での分析の評価) 評価が上がると給料が上がるという方式だと仮定

総合での分析の評価=∑(分析の値段×数)+その他の分析の価値

T = ∑(P*Q) + O (アルファベットの表現に直しただけです)

∑(分析の値段×数)= ∑(P*Q)=分析Aの値段*Aの数+分析Bの値段*Bの数+分析Cの値段*Cの数・・・・

そして、分析者の勤務時間には限界があります。

1日12時間働くと仮定すると、それぞれの分析が必要とする時間*量の合計は1ヶ月では12*30=360以下でなくてはいけません。

∑(K*Q) = 12*30=360

 

つまり以下の様な最大化問題を解くことが出来ます。
※Oは考えないとする

MAX  ∑(P*Q)   (分析の評価を最大化)

s.t. ∑(K*Q) = 360 (しかし1ヶ月で360時間までしか働けない)

各分析の価格Pと、各分析に必要な時間Kが解っていればこの問題を解くことが出来、分析者は分析の評価を最大化することを通してその給与の最大化を目指すことが出来るわけです。

 

C:組織での荷物化が避けられる・・・そして利益を生み出すチームに・・・

無償の状態であれば、需要側は非常に短絡的に分析結果を使わないという選択を行うことが出来ます。データ分析は意思決定に役立って初めて価値がある物なので、このような決断をされるとそれまでの苦労は全て徒労に終わってしまいます。

ハッキリ(そして偉そうに)言ってしまえば、そういったケースにつぎ込むリソースは分析する側(そしてそれを抱えている組織)にとってはただのコストでしか無いので出来るだけ避けるべきです。

しかしもし分析にある程度の価格が付いているのであれば、注文する側は支払った額分位の価値をその結果から見出そうと考え、意思決定までつながる可能性が上がります。また、最悪繋がらなくとも金額をもらっておけば純コストになることを避ける事が出来ます。

当然価格の上昇によって案件の数が減ると考えられます。が、データ分析に価値を見いだせないケースから減ってゆくと考えられるので、ある程度までの価格上昇は純コスト減をもたらし、そこから浮いたリソースでより価値の高い分析等を行うことが出来ます。

また、ある程度価格を上昇させた後においても、値段を倍にしても案件が1/3しか減らないという状況であれば価格を上昇させることによってさらに利益を高めることが可能です。
この辺の価格弾力性なんかはデータをしっかり取っていればデータ分析で推定することが可能です。上手く推定できれば価格設定から案件数を予測してBで算出した最適な案件数に合わせることも可能です。

 

まとめると

1.まず価格を設定して純コスト案件を無くし、分析の価値が分かる状態にして最適な労働時間ポートフォリオを作成出来るようにする。

2.価格を上昇させて、分析の価値が過小に評価される案件を無くし、価値の高い案件に集中して利益を高める。

3.案件減少によって余ったリソースをより価値の高い分析へ回す。

といったフローです。

余談ですが、価値の高い案件に集中することによって納期が早まったり考察の質が高くなったりするとも考えられるので、

データ分析チームは中々簡単に拡充することが出来ず、常にリソースが限られた状況になるため、その限られたリソースを如何に効率よく価値の高い部分に集中させられるかが非常に重要です。
そんな中で価格戦略で利益を高めつつ案件数をコントロールするというのは有用な戦略だと僕は思います。

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