「サルたちの狂宴」を読みました。

久々に心動かされる本を読んだので何か書いておかないとと思ったのでブログでも書こうと思い立ち、書評を書いてみる今日この頃です。

「サルたちの狂宴」を読みました。正直何故原著をもっと早い時期に読んでおかなかったのだろうかと後悔しました。。

リーマンショック時にゴールドマンサックスに勤めていたクオンツの著者が、広告系のスタートアップに転職して、自分でスタートアップを立ち上げ、そしてFacebookで広告プロダクトのプロダクトマネージャーになって、最後には退職するというお話です。

今やFacebookはアドテク業界においてもトップを走る会社といっても過言ではない状態です。しかし、2012-2013年ではそんな片鱗すら見せる気配がなく、広告によるマネタイズについてよく理解してない人たちがカオスな状況を意味不明な実行力とともに作り出しているという状況が本書では詳細に説明されています。

そしてそんな状態からどのように広告による収益を確立させていったかという流れも(完全ではなく、また著者が直接的に関わっていないにしろ)描かれています。

一応僕もこの5年間ネット広告を飯の種にしていて、まさに著者が挑戦していたような事業にも取り組んでいたので、その時の苛立ちとか怒りを思い出しながらこの本を読んでいました。

この本は、シリコンバレーの内情・Facebookの内情・スタートアップのあれこれ・広告プロダクトPM・etc… と様々な側面に関して描かれているので、それぞれの側面について書評が挙がりそうですが、ひとまず僕はアドテクのプロダクトを作る人として思ったことを並べてみました。

①2012 – 2013のFacebookってこの程度のレベルだったのか・・・

この本の内容を鵜呑みにすると、おそらくほぼすべての日本のアドテクベンダーは2012-2013時点でFacebookより広告市場を良く理解しているし、それを支える技術力も持っていたのだと思う。

しかし、2014年位にはすでに抜かれていたのだと思う・・。

この劇的な進歩が行えてしまうのはなぜか?というのが読みながら気になっていました。会社の文化にあるのか、人的資本にあるのか、それとも情報収集能力にあるのか・・・

サッと抜かれていった身としては気になるばかりです。

 

②プロダクト作りはやっぱどこへ行ってもカオス

心の底ではGoogleとかFacebookはグローバルエリートが集まったがゆえに何かしらの魔法が発動して、作るべきものを作るべきタイミングで進めることが出来ているのだろうと勝手に思ってました。

が、この本では「そんなことないぞ」という描写がちりばめられています。現在の職場で普段目にするような光景が本の中でも展開されていて、「やっぱこうなっちゃうんだな~」と思いました。

 

③PMは基本的に中間管理職

意思決定に関して結局トップの数人が最終的な決定レイヤーになっていて、PMはその意思決定をもらうために短時間のMTGで説明したり根回ししたりといろいろやるという話が書いてありました。

この意思決定の流れは自分の職場でもかなり近いものがあるなと正直思い、実際過去に自分がそれに不満に思うこともいくらかありました。恐らく最良の意思決定方法ではないにせよ、ウェブ系の企業なんかではある程度の合理性がある意思決定方法なんだろうなと思いました。

ちなみに本書はそんな中で反骨精神とプライドと怒りを持った著者が勝手に自分が信じる「あるべきFacebookの広告商品」を作ろうとして惨敗するという話です。

 

 

全体的に読んでいて、やたらビビることも無いんだなというのを思いました。まさに隣の芝生は青く見えるって奴でした。

アドテクに限られた話では無いのだけれども、組織の流れに反するアイデアを持ち、それが圧倒的に正しいと感じているとき、自分はそのアイデアでどんな挑戦をするのか?若しくはしないのか?というのがこの本を読んだ結果として自分に残った疑問でした。

ひとまずPMを目指す人・アドテクで働いている人・広告関係の人・シリコンバレーの内情に幾らかの興味がある人は読んでみると面白いのではないでしょうか?

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