ただいま絶賛締め切りが迫ってくる修士論文を書く毎日なわけですが、もっとやりたい事が出来てしまった今正直もうサーモンの事を考えたくないw
こんなこと言ってると「お前じゃなんでその研究選んだんだよ」とか言われそうなんですが、新しい恋人できたら前の人のこと忘れるでしょ?そういうことですよ。(ドヤァ
これから仕事としてやっていく事って単純なデータ分析ではなくて、事象を論理的に捉えてそれを数理に落としこんで、データを分析するというものだと思うんですよ。(と思うのと同時に望んでもいるわけですが)
で、本人としてはそれって大学院でやってきたことど真ん中じゃん(キラッ☆ とか思ってるんですが、思い過ごしかもしれないのでちょっとどんなお勉強して来たのかを振り返ってお昼ごはんを食べ終わって眠いこの時間帯をやり過ごそうかと思います。
まぁいないとは思いますが、もし気を違えて修士でNHHに留学したいという日本人が現れたら、何を勉強できるかはこれを参考にすればいいかとw
1学期目
Optimization
最初の数学的洗礼でした。ラグランジアンとかは使ったことがあったのですが、そこにクンフータッカー条件とか色々追加していって割りと数学的にかっちりやった感じがします。
Micro Economics
需要供給曲線なんかは全くやらず、ひたすら利益最大化問題や費用最小問題といった経済活動における最適化を解いてました。
Economic Decision Model
最適化を使って色々な経済活動に置ける意思決定をサポートするレポートを作ろうという授業。実はこれが一番社会に出て役に立つのではないかなと思います。
- 運搬経路を最適化するロジスティクス
- 災害などの緊急時のロジスティクス作成
- 石油精製施設で製法のパラメーターを変化させて市場の需要に対応した石油製品をより安いコストで作るための最適化
- 市場をグローバルに想定してこの2つを組み合わせたロジスティクスと費用最小問題の組み合わせ
- 自由電力市場におけるオークションシステムの構築と発電所の最適な入札戦略の計算
- M&Aにおける最適戦略
- 多目的最適化:最適な高速道路ルートの選択(環境・経済等々の要素の単位を上手く合わせて最適化)
- Stochastic Modelを用いてリスクをコントロールしつつ期待収益を最大化出来る投資ポートフォリオの作成
これらのことをAMPLという最適化ソフトを用いて行なってました。
一番ヘビーな授業だったけれども、社会でそうやって最適化を用いて行けるのかが解る素晴らしい授業だったなと思います。
Petroleum Economics
資源経済学の大御所がやってる授業。これも数学的な洗礼が厳しかったかな。
- 石油生産量予測モデル(Hubbert curve)
- 石油価格予想モデル (Hotelling Rule)
- 石油が取れなくなってきた油田の採掘を何処で止めるかという決定モデル(実は人気のないソーシャルゲームを何処で打ち切るかに使える気がする)
- 初期施設量と石油生産の継続性モデル(石油生産が圧力に関係するから初期施設量が油田の寿命を決定するよっていう話)
- 寡占市場における天然ガスの価格決定ゲーム。
- 天然ガスにおけるパイプラインのコスト計算
- 石油先物市場とリスク最適化モデル
- CAPモデル
Econometrics
基本的な計量経済学の授業。
- 回帰分析
- 時系列
- パネルデータ
- IV regression
魚の適正価格や、労働賃金の推定や、家の価格予想モデルなんかを作ったりした気がするようなしないようなw
2学期目
International Fishery Management
Petroleumと同じ先生がやってる授業。Renewable Resourceになると資源が増える事を想定しないといけないので、石油よりもモデルが複雑だったりしたかな。
- 最適な収穫決定モデル
- 魚の体重推測モデル
- 魚の人口ピラミッド推定とそれを元にした収穫決定モデル
- 開放漁業モデル
- 養殖モデル
- 養殖魚の国際供給需要の2SLSを用いた推定
- 国際間での魚共有ゲーム
- Multi species model(食物連鎖をモデル化して漁業の影響を推測しながら収穫量を決定するモデル)
Environmental Economics
世界銀行の先生がやってる環境経済学の授業。数学はあんまり使わなかったけれども、基本的な事を抑えれば政策作るくらいは出来るよというのがよく解った授業。
- 経済外部性
- Optimal tax on externality
- Quotas system of Externality(排出権で外部不経済をコントロールしようという話)
- taxとquotasが所得配分にどのような影響を与えるかを公共経済学で考える
Econometrics Application
計量経済学の応用レベル
- IV regression
- Anderson-Hsiao Estimator
- GMM
- Arellano-Bond GMM estimator
- Logistic regression
- Probit
Land use and Natural resource
イギリスから来た先生がひたすらデータ観測技術について熱く語る授業。まったくもってLand use関係ないw
初めてトポロジーを授業で扱ったw
- GRASS GIS
- 衛星データの扱い方と観測誤差
- 位置データの取得方法
- 地震探査法が漁業に与える影響(レポートとして書いて提出w)
Agricultural management
先進国が農業をどうやって扱っていこうか?という話。興味なしw
Optimization in petroleum industry
石油業界で最適化をどう用いてるかを実際に計算して学ぶという短期集中授業。実際のデータを貰ってAMPLで計算。これは面白かった。
- 海上油田掘削船巡回問題(海上油田を掘れる船をどういった順番で掘削地点を巡回させれば利益を最大化出来るか?という話。油田のステータースや位置が収益性に関係してくる。たしか確率変数も導入してシュミレーションしたりした)
- 上の問題に油田閉鎖の要素も導入して長期間で問題を解く
- 油田設置場所の選択モデル(あまり近くに油田を建設すると、油田同士で石油を共有してしまうので最終的に掘れる量が少なくなるので遠すぎず近すぎずを選ぶ必要がある)
3学期
Economics of Climate Change
Environmentと同じ教授の人の授業。地球温暖化を経済学からの観点で考えるという授業。授業自体は数学や統計使わかなかったけど、関係してる論文は数学モデルがびっしり。
Resource Economics
恐らく大学院の中で最も数学使った授業。資源というものをミクロ経済学で捉え、資源の存在がマクロ経済にどんな影響があるかをマクロ経済学で考える授業。
- 動学最適化(ハミルトニアン)
- 最適資源管理モデル(長期的にみんなが一番得する資源の採掘スケジュールを動学最適化を使って考える)
- 不確実性下における最適漁業活動モデル(漁業権が次のシーズンも貰えるか解らない状態での最適な漁業活動)
- 最適捕鯨モデル(環境活動家になるべく怒られなくてかつ需要を満たせる量を計算するモデル)
- Weitzman’s uncertainty approach (最適な地球温暖化対策投資を温暖化のダメージがわからないという不確実性下で求めるモデル。天才。こいつ考えた奴は間違い無く天才)
- 地球温暖化対策協定ゲーム(京都プロトコルに賛同しない国が出ることを説明するゲーム理論モデル)
- 植林最適化モデル(植林の利益を最大化しようというモデル)
- 資源国と非資源国の貿易マクロモデル
4学期
論文+就職活動+動学最適化の勉強
うーん。
一体お前の専攻はなんだと問いたくなるラインナップですなw
統計やってましたと言うかは最適化してましたという方が正しいのかもしれない。
まぁこれらの事を通して数学も統計も普通に扱えるようになったし、それを実社会で使うという前提の授業ばかりだったので良かったなと思います。